パラカ Paraca

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森林保全の支援

コンセプト

コンセプトは「削減と吸収」による両面からの環境貢献です。当社はこれまで、駐車場を供給することによって、違法駐車を減少させ交通渋滞を緩和し、地球温暖化ガスを削減するというCSR活動に取組んできましたが、このたび、もう一歩踏み込み、森林の保全事業を支援することによって、地球温暖化ガスを吸収するという両面のCSR活動を始めることとしました。
地球温暖化ガスの「削減と吸収」は、エネルギー面では「省エネと再生」、地域面では、「都市と自然(森林)」に対応しています。日本の森林面積は、国土の約66%(緑被率)を占め、フィンランドに次いで世界で2番目の比率となっていますが、この森林が今危機に瀕しています。
都市の快適な生活は、自然に支えられていますが、日本の森林を保全することは、都市生活を守ることにつながると考えています。

見学

平成18年6月に速水(はやみ)林業の森林(一部に世界遺産である「熊野古道」が通っている。)を当社社長の内藤亨、CSR責任者の間嶋が訪れ、速水林業代表の速水亨氏より、地球環境への森林の役割や、日本の森林の現状を林業経営の面、税制面、後継者問題、海外との違い等、多くの角度からお話しいただく機会を得ました。
これらの点を踏まえ、速水林業の山林1,070.13ha(約320万坪)、約5kmの道のりを歩き見学させていただきました。同氏は平成12年2月に世界レベルでの健全な森の証明であるFSC認証(森林管理協議会)を日本で初めて取得されていますが、認証取得のための取組みや活動、環境への配慮、森林の管理などについて、道すがら具体的な例を交えて説明を受けました。

支援先

森林は、治山治水に貢献し、また、温暖化ガスを吸収し、地球温暖化を防止するなど、普段私たちがほとんど意識しないような、地味で目に見えないところで国民生活に大きな役割を果たしています。
一方で、日本の森林を取り巻く環境は、造林投資のマイナス利回りが恒常化し、長期投資である林業の将来展望が見出せない状況にあります。また、公的機関によって森林を整備することは膨大な国民負担となります。
当社は「削減と吸収」による両面からの環境貢献というコンセプトに基づき、地球温暖化ガスを吸収する森林の保全事業支援を検討してまいりました。このたび、森林を案内してくださった速水氏に助言を頂き、公共性が高く施業放棄森林(手入れされなくなった森林)に対して森林育成を行なう「NPO法人22世紀やま・もり再生ネット」を微力ながら支援することといたしました。

見学の様子

森林のスタート

森林の入口には「まちかど博物館」、ログハウスなどがある。
まちかど博物館は、見学者のために速水林業が作った展示館。
ログハウスでは、森林、環境問題に関するレクチャーが行われる。

まちかど博物館

速水林業は1790年(江戸時代)から三重県海山町で林業を開始。
この博物館には創業以来、使用してきた林業で使う伝統的な工具をはじめ、林業の歴史を物語る品々が展示してある。
速水林業では、現在でも森林で使うすべての器械工具を自分たちの手で修理し、使用しているという。

いざ森林の中へ

よく整備された林道を歩き始めた速水氏と内藤。
手入れが行き届き、森林の中には適度な太陽の光と風がぬけ、すがすがしい。
この先には30〜120年生のヒノキ林が広がる。

平尾の下

この森林は、何年前に植林したかにより、区画が分かれている。
ここは、「平尾の下」という区画で、1945年に1ha当8,000本植林(約1.1m間隔に1本)、間伐7回、枝打5回、現在475本/1ha、直径31.6cm樹高21.4mという表示がある。この表示によればこの区画は60年の森。
この他に30年の林から、120年の森までさまざまな森が広がる。
小鳥の巣がある枝は、枝打ちしないという気遣いまでしている。

サスティナピリティ

環境に配慮した森林経営について速水氏より説明を受ける内藤。
植林し、手入れを行い、伐採し、曽祖父の代に植林されたヒノキがやっと出荷される。そしてまた植林される。120年という時間の持続可能な循環が続いている。
当社の解約のない駐車場「孫、曾孫の代まで駐車場」という理念に通じるものを感じる。

森を守ろう?

この区画は120年の森。
他の山に入ると時々「森を守ろう」という立て看板を見かけます。
この森にたたずむと逆に「私たちが森に守られている」ことを実感する。

ジュラシックパーク ?

森林内には、常緑の広葉樹が誘導育成され、下草のウラジロシダが林床を覆っている。
日本でこのような森林は大変少ない。
とある写真家が、この森を訪れた際、「まるでCG(コンピュータグラフィック)で作ったジュラシックパークの世界ですね」と発言。「いえいえ、逆です。この森林の景色をCGにしたのがジュラシックパークです。」

イノシシ

林道にイノシシが土浴びをする場所がある。「ヌタ場」というとのこと。
イノシシの足跡(ヒヅメの跡)がはっきりと残っている。
速水林業の森の中では、多くの動物たちの息づかいが感じられる。

生命力

広葉樹であるコナラ(ドングリの木)の周りの地面には下草が生えていない。反対にその後ろに広がるヒノキ林には下草が生えている。コナラは、自分の種であるドングリが芽生えるとき他の植物との生存競争に打ち勝つため、下草が生えるのを防止する科学的な作用を起こしている。このような作用をアレロパシー(Allelopathy)、他感作用というとのこと。
なんとたくましい生命力か。

森の主?

この木はヒノキではなく、スギの木。
周囲2m50cmの大木。この森に自生した「森の主」と思いきや、これも200年くらい前に植えられた木だとのこと。

三重大学と

大学と共同で、①大気温度、②大気湿度、③風速、④風向、⑤照度、⑥地上反射照度、⑦地中圧力、⑧雨量の8項目を10分毎に計測している。
このような機器を尾根や谷など条件の異なる場所に3ヶ所設置し、環境に対する森林の持つ能力や林業経営に関わる木の成長など、科学的な調査研究も行っている。

松ぼっくり

森林では、苗木も育てている。
ある大学で林業を学ぶ学生が、費用も、エネルギーもかけコンピュータ管理された施設よりもごく簡単な苗床で、苗木の育成を行い、しかもその成長に大差がないことに驚いたという。
その管理方法は、苗床の隅に松ぼっくりを置き、それを湿度のバロメータとし、それが開けば水をやるという方法。

濁らない

前日の大雨にもかかわらず、森林内を流れる小川は、濁っていない。
その水は、冷たく透き通っている。
森林の持っている保水力は、「緑のダム」、洪水や渇水を防ぐ働きをしている。

銘柄「尾鷲(おわせ)のヒノキ」

森林から切り出され出荷を待つヒノキについて説明を受ける間嶋。
国際的組織であるFSCの認証印が付けられる木材。
温暖多雨な条件に恵まれ、年輪が緻密で油脂分が多く、強さと粘りがある。
尾鷲ヒノキは鮮やかな赤みと光沢、強さと耐久性を併せ持つ銘柄として高く評価されている。

22世紀やま・もり再生ネットとは

「22世紀やま・もり再生ネット」は放棄森林を、「持続可能な木材生産と環境保全に配慮した認証森林に変えること」を活動の目的としています。
設立してまだ日の浅いNPO法人ですが、市民・企業の支援によって平成18年4月に活動を開始しました。

NPO法人22世紀やま・もり再生ネット
http://www.22centsaisei.net/

支援者に対する還元の考え方

22世紀やま・もり再生ネットは、活動の成果を『支援者が数値で確認し、実感し、体験できる』、具体的には、
①環境報告書に掲載可能な森林整備の成果データの提供をうけることができる。
②現地に資金提供者名を公表。森林認証を受けて、生まれ変わった森林を広告媒体に使用することができる。
③支援対象森林内での植林、保育作業への従業員の参加、森林浴などの福利厚生の一環としての利用をすることができる。
という金銭ではないリターンを還元としています。

環境への取り組みの数値化

NPO法人22世紀やま・もり再生ネットは、森林支援活動によるCO2吸収量を数値化できる数少ないNPO法人のひとつです。提供される数値データは、環境保全に配慮された認証森林による炭素固定量等ですが、詳細については、開設予定の同NPO法人のホームページをご参照ください。
なお、炭素固定とは、植物や一部の微生物が空気中から取り込んだ二酸化炭素を炭素化合物として留めておく機能のことをいいます。具体的には、直径35cm、樹高20m(およそ50年生)のスギ1本で250kgの炭素を固定できます。これは炭酸ガスに換算すると約1トンを吸収することになります。
22世紀やま・もり再生ネットのまとめたデータによれば、森林の中でも高齢林より若齢林のほうが炭素固定能が高いことがわかります。また、放置放棄林より、管理森林のほうが炭素固定能が高いことがわかります。
大きくなった木は伐採して有効に使う、植林した森は手入れする理由がここにあります。

ふたたび速水林業

 

昼食時になり、まちかど博物館前のテラスのようなところでお弁当をいただきました。
中身は、地元でとれたフキの佃煮や生ブシや芋の茎漬けなどがまぶしてあるおむすびなどすべて自然食でした。
中身もさることながら、お弁当の容器が竹ノ子の皮だったことに感心しました。

3R

環境問題を解決するキーワードは3Rと言われています。リサイクル(Recycle)とリユーズ(Reuse)とリデュース(Reduce)。
一般的には、リサイクルは、アルミ缶のように原料にしてから「再生する」こと。リユーズはビール瓶のように繰返し使う、「再利用する」こと。リデュースは、ものを大切にして長く使う、すぐにゴミになるようなものは買わない、ゴミ自体を「減らす」ことです。
リデュースという言葉には、他に「還元する、元にもどす」という意味があります。お弁当の容器も土に「もどる」ように竹ノ子の皮にしてあったのです。詳しいところは分かりませんが、竹ノ子の皮を山に捨ててもエントロピーはほとんど増大しないはずです。

エントロピー増大の法則

エントロピーとは「無秩序な状態の度合い」を意味します。石油を原料にプラスチックが作られ、ゴミとなって捨てられると、石油エネルギーの一部がプラスチックの中に保存されます。
クルマはエンジンによってガソリンを燃やし、熱エネルギーを力学的エネルギーに変換して走って(仕事して)いますが、変換されないエネルギーは排気ガスとなり、また変換されても一部は摩擦熱となって大気中に保存されます。
数億年前に生物の死骸として炭化水素が水底に積もり、地底に閉じ込められ石油として安定したエネルギー状態で存在しているものを、人類が汲み出し使用し不安定なエネルギーに変えています。人類の時代尺度では二度と地底に戻して安定させられない状態です。

エネルギー保存の法則

このように、私たちの生活や経済活動は放っておくと無秩序な状態を増大させます。世の中は「エントロピー増大の法則」に支配され、「エネルギー保存の法則」によって、エネルギーの量は保存され、その総和は減ることはありません。私たちはエネルギー自体を消費しているのではなく、拡散させている。ゴミの山ができ、排気は限りなく大気を温め続けている。これが、環境問題におけるエントロピー増大の法則の意味するところです。
拡散されたエネルギーは量としては変化しませんが質が劣化し、エネルギーとしてリユーズできない状態になっています。枯渇しようとしているのは、エネルギーそのものではなく、エネルギーの仕事をする能力なのです。

守られているのは私たち

地球温暖化の本質がエントロピーの増大である以上、私たちはこの増大を防ぐ努力が必要であり、人ごとではありません。大気中に拡散され目に見えず、少しずつ進行しているので呑気にかまえていられるだけです。掃除機で部屋を掃除すれば見えるところはきれいになっていますが、掃除機の中の空気を吸うと思えばそうはいきません。
現在行われている環境問題への取り組みは、「森を守ろう」「環境を守ろう」それ自体のためではなく「守られている私たち」のためにエントロピーの増大を防ごうとする活動に他なりません。

 

竹ノ子の皮は森にもどり、やがて腐り、CO2を出し、土となり、森はCO2を吸収し土から栄養を取り、木が育ち家となります。
木の家を建て、手入れをし、長持ちさせれば、その分CO2を閉じ込めることができるのです。

微力ながら・・・

回収した資源ゴミをリサイクルして能力の高い資源に再生するには、新たなエネルギーの能力を消費します。再生資源より新たに消費される能力の方が大きければリサイクルの意味がないとも言われていますが、単純系と複雑系の考え方の違いによって、どうもまだよくわかっていないというのが現実のようです。しかし一方で、人類にとってわかってからでは遅いというのも事実のようです。
したがって、出来ることから始める、なるべく環境負荷の少ないと思われる活動を選択するべきだと考え、まずは環境意識を高めるために、環境省のチームマイナス6%へ会社と社員全員が参加しました。そして、竹ノ子の皮が森にもどり、自然により再生されるように環境負荷の小さいと思われる森林の保全活動を行うNPO法人22世紀やま・もり再生ネットへの支援となったわけです。
スウェーデンは世界に先駆け、木材を中心にバイオマス資源循環型社会に転換しつつあると聞き、国土の3分の2が森林である日本は、宝の持ち腐れをしているような気さえします。当社の支援が、環境問題の解決に加え、林業の再生の一助になれば幸いに存じます。